でも、その熱中症対策、もう一度見直してみませんか?
何しろ、私自身が、「一応熱中症対策をとっていた一人」だったにもかかわらず、まさかの発症!
人生の中で、初の熱中症だったのですが、それよりも何よりも、知っていたはずの熱中症の症状よりもはるかにつらい症状に、すっかりノックダウン!
これは、私が人生で初めてかかった熱中症の実話です。
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目次
きっかけは高温の室内での作業からだった
私の仕事は、葬儀屋さんです。葬儀屋さんといえば、長袖のシャツに、首までしっかりとボタンを留め、ネクタイをつけ、黒のスラックスに、夏でも黒のジャケットを羽織るのが一般的なスタイルです。
私が今、住んでいるのは、夏のリゾート地としても有名な沖縄。
沖縄は、強い日差しと、異常に湿度が高い、高温多湿の地域です。
そんな地域の沖縄においても、葬儀屋さんのスタイルは、全国的に一般的なスタイルと変わりません。
実は、こういった事情があって、私自身は、熱中症に対して「一応気を付けている方だ」という自覚がありました。
●暑すぎる室内での作業の中で… その日、私が担当したのは、自宅で家族だけのお葬式をしたいというお客様。
自宅に伺うと、朝早くから、故人の子どもたちや孫などが集まっていました。
ただ、いつものようなお葬式の雰囲気と、ちょっと違うことにすぐに気が付きます。
一般的には、亡くなった方の布団のそばに集まって、限られたひと時をみなで過ごしているという風景があるのですが、そのお宅では、なぜか庭先に人が集まり、みんながうちわを必死にあおいでいるのです。
その理由は、すぐにわかりました。
大きな家なのですが、クーラーが設置されていないのです。
だから、家族たちは、そばに行きたくても、狭い仏間ではあまりにも暑すぎて、じっとしていることが出来なかっただけなのでした。
●汗が異常に出る どんなに過酷な状況であっても、限られた時間の中で、決められたスケジュールをこなしていかなければならないのが、お葬式です。
そして、その葬儀の担当をまかされていた私にとって、亡くなった故人はもちろんのこと、葬儀に立ち会う家族の健康管理にも気を配らなければいけません。
大切な人の葬儀に立ち会った家族が、まさか熱中症で救急搬送されたなんてことが起きたら、それこそ一大事!
そのため、体力を消耗する作業は、すべて1人で進めることにしました。
さすがに、スーツの上着は脱いだものの、シャツの首のボタンを開けるわけにもいかず、また、袖を腕まくりするなんてこともできません。
ただ下を向いているだけなのに、汗がぽたぽたと足元に落ちるのを、ハンカチで拭きながら進める私。
ここで、最初の異変が起こります。
汗のかき方が、おかしいのです。
突然、尋常じゃないほどの量の汗が、全身から噴き出してきて、シャツもスラックスも、すべて汗でびしゃびしゃ。
ハンカチで何度汗を拭いても、一向に汗は止まりません。
そのうち、頭がくらくらしてきて、目がちかちかし始めましたが、葬儀の最中に葬儀屋さんが倒れるなんてことになったら、それこそお葬式が台無しです。
ひとまず、なんとか作業を終わらせ、急いで自分の車に駆け込み、一気にクーラーで体を冷やしてなんとかこの時の危機を乗り越えることにしました。
●うまく言葉が出てこない 次に異変が起きたのは、司会の最中のことでした。
ご住職の用意も整い、家族も、できるだけ涼しく過ごせる場所に集めると、部屋の中はすでに私が立つ場所すらない状態。
風を入れるために縁側の窓が全開になっていたので、そこに立って司会をすることにしました。
でも、その時間の縁側は、沖縄の強い日差しがモロにあたる場所。
そして、式の進行役を務める私は、炎天下の中、ジャケットを羽織ったまま、司会をすることになります。
ここで、異変が起こります。
普段は、何も見なくても司会の言葉が頭に浮かんでくる私なのですが、頭がぼんやりしてしまって、いつもなら出てくる言葉がなかなか頭に浮かんできません。
手元に持った司会文に目を向けるのですが、今度は、うまく言葉が出てきません。
焦る私。
進む、お葬式の儀式。
普段は、式の進行中に席を外すことはないのですが、さすがにこの時ばかりは、合間を見て席を外し、そばにあったペットボトルの水を、がぶ飲みしていました。
熱中症の症状がどんどん進んでいく
沖縄のお葬式は、葬儀の当日に納骨まで済ませるのが一般的な流れ。その日も、自宅での葬儀を何とか無事に終わらせ、火葬・収骨をすませ、あとは納骨を残すのみというところまで来ました。
ここが、熱中症の最大のリスクが高まるところ。
自宅での葬儀では、屋内や、庭の木陰に入って休ませることが出来た家族も、さすがにお墓の前では、そうもいきません。
ワンタッチテントが立てられてはいるものの、その陰の中に入れる人数には、限界があります。
もちろん、納骨の準備や作業、納骨の儀式の進行役をつとめなければならない私は、常に炎天下の中に立っていなければいけませんでした。
●汗が出ない ところが、ここで新たな異変が起こります。
汗が、今度は出ないのです。
自宅での葬儀最中には、異常な汗をかいていた私が、さらに過酷な状況にあるのに、今度は汗が出てこないのです。
水を飲むと、幾分体から汗が出ているような気がするのですが、それもつかの間。
さすがに、これは危険な状態だと思い、合間を見て、クーラーをかけた車の中で休んでいました。
●指先の感覚が鈍い 無事になんとか納骨を済ませ、自宅へ向かう家族を墓地で見送り、とりあえず水分を補給しようと、車で近くのコンビニに向かうことにした私。
ここで、次の体の異変に気が付きます。
ハンドルを握る指先の感覚が、なぜか鈍いのです。
「休むべきか?」と思ったのですが、この時、車内には飲み物が何も残っていない状態。
体は、水分を欲していて、我慢ができません。
超スロースピードで、何とか近くのコンビニを見つけ、ペットボトルの水を買い、即座に水分補給。
この時、私は失敗をしていました。
あまりの暑さに水は購入したものの、塩分を補うものを手にしていませんでした。
今になって思えば、この失敗が、その後の熱中症の症状に、大きく影響していたような気がします。
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熱中症の症状がぬけるまで
熱中症の本当の恐怖を知ったのは、自宅に帰った後からでした。なんとか無事に自宅まで帰ってきたものの、もはや、身体を動かすことも何もできない状態。
シャワーで体を冷やし、クーラーが効いた部屋にたどり着くと、そのまま、横になって眠ってしまいました。
ところが、異変は夜中に起こります。
●激しい頭痛 激しい頭痛によって、夜中に目が覚めた私。
熱中症の症状の一つである頭痛が起きていることに気が付いたため、ひとまず水分補給を心がけます。
十分すぎるほどの水分を補給しているはずなのに、いっこうに治まらない頭痛。
こめかみのあたりに、吐き気を催すほどの痛みを感じます。
●吐けない吐気 何かが出そうなほどの吐き気に襲われ、トイレに駆け込みますが、何度試しても吐くことが出来ません。
それなのに、吐き気は波のように襲ってきます。
そして、その合間を縫って、激しい頭痛が襲います。
●激しい下痢 さらに襲ってきたのが、激しい下痢。
日中、何も食べていなかったにもかかわらず、激しい腹痛に襲われ、トイレに駆け込むと、今度は下痢の症状がみられます。
これは、脱水症状を引き起こす危険な状態。
改めて水分を補給するのですが、この症状も、その後3日間続きました。
まとめ
身体を動かすことが出来るようになり、ようやく近くの病院に駆け込み、点滴治療を受けることが出来た私ですが、最終的に熱中症の症状が治まったのは、1週間後のことでした。その間、頭痛と下痢の症状に悩まされ、仕事も休む羽目に…。
これが、私が今年体験した熱中症の実話です。
実際に熱中症にかかってみて思った率直な私の感想は、「熱中症は怖い」ということ。
身近な危険ということはわかっていたつもりでも、その症状がどれだけつらいものなのかということは、わかっていなかったということです。
体験した今だから、はっきりといえることがあります。
熱中症は、誰にでも起こるものです。
知識はあったとしても、防げないこともあります。
でも、熱中症になった場合、速やかに応急処置をするということが、症状を抑え、回復までの期間を短縮することにつながります。
まだまだ熱中症の危険性が続きます。
今一度、みなさんも、熱中症対策について考え直してみてくださいね。
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