ちょうど真ん中あたりにあるお休みの時期。
先祖の墓参りもかねて帰省する人も多いですから、
普段とは全く違った賑やかさを感じる時期でもあります。
そのため、むかしから、
「盆と正月が一緒に来たよう」などのように、
めでたい事が重なったことや忙しいことを
表すことわざにも、「盆」という言葉は使われてきました。
とはいえ、「盆に意味や由来ってあるの?」
と子供に聞かれると、あまりにも漠然としすぎていて、
上手く答えられないということもあるのでは?
そこで今回は、子供に聞かれても
しっかりと答えられるように、お盆の意味や由来を
簡単にまとめてみました。
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目次
お盆にはいろいろな由来がある
お盆と一言で言っても、「日本独特の行事」と「仏教の行事」、さらに「日本の風習と仏教が融合した行事」の3つがあります。
●日本独特の行事としての「盆」
日本では、むかしから祖先の霊を祀り崇拝する
祖先崇拝(そせんすうはい)の考え方が根強くあります。
そのため、日本ではすでにこの世にはいない家族や先祖のことを、
「ご先祖様」「カミ様」「ホトケ様」という言い方をします。
★盆に先祖を祀る行事は縄文時代から行われていた
盆や彼岸に先祖の霊を祀る祭祀や儀礼は、
縄文時代にはすでに行われていたといわれています。
そのため、全国各地で見られる環状列石は、
この祖霊崇拝に関する行事が行われていたことを示すものといわれています。
この時代に行われていた祖霊を祀る儀式は、
集落や村などの単位で行われていたものなのですが、
その後、日本に稲作が伝わり農耕時代を迎えてからは、
それぞれの家が単位となって行われるようになっていきます。
これが、日本独特の行事としての盆の起源と考えられています。
●仏教の行事としての「盆」
仏教発祥の地であるインドでは、昔から7月15日を中心に、
盂蘭盆会(うらぼんえ)という儀式を行ってきました。
この盂蘭盆会は、「死者の霊を慰め供養する」という儀式です。
日本も、仏教伝来とともに、盂蘭盆会の行事も伝わってきました。
その後、「盂蘭盆会」という名前が略され、「盆」となったといわれています。
●日本の風習と仏教が融合した「盆」
現在、日本で一般的な認識として定着している「盆」は、
このタイプの行事を指しています。
もともと日本にあった祖霊崇拝の行事と、仏教の行事である盂蘭盆会が融合し、
「精霊」と「祖霊」を祀る夏の行事となりました。
●子どもに説明するならどうする? ここまで丁寧に説明しても、小さな子どもでは理解が出来ません。
その場合は、段階に合わせて説明してみてください。
■幼稚園までの子どもの場合 ふだんから○○ちゃん(くん)のことをまもってくれている、
おじいちゃんやおばあちゃんのパパやママたちに、
「いつもありがとう」「これからもよろしくね」とおねがいするための日なのよ。
■小学生の場合 ○○ちゃん(君)のご先祖様を、昔から日本で行われていたやり方と、
仏教でのやり方の2種類を同時に行って供養をするのが、お盆だよ。
■もしも、「もっと詳しく」といわれたら
前出の内容を、そのまま伝えてみてください。
お盆の意味を知っておけばここまで説明が出来る
お盆には、独特の風習があります。それぞれ意味があるため、きちんとその意味を知っていれば、「どうしてこれをやらなくちゃいけないの?」
という子供の質問にあった時でも安心です。
●迎え火
先祖の霊がいる場所には、地域によって違いがあります。
その場所が「天」と考える地域が多いですが、
他にも山や川などの「自然の中」にあるとする地域もあります。
ただし、共通して言えるのは、それぞれ普段いる場所から
最初に帰ってくる場所というのが「お墓」という点です。
そのため、盆を迎える前には、どの地域でも墓掃除をします。
ちなみに、自宅前で迎え火をたくのは、
先祖の霊が家にたどり着くまでの目印という意味があります。
先祖をお迎えするための目印が迎え火なので、
「お墓で行う場合」と、「自宅前で行う場合があります。
●送り火
送り火をたくタイミングは、地域や家によっても異なりますが、
8月に行う場合は、15日または16日となっています。
送り火は、迎え火と同じく、先祖が無事にいつもいる場所へ
戻れるようにともすのが目的ですから、時間は夕方以降です。
●灯篭流し
「先祖が普段いる場所が山や川」と考える地域があります。
このような地域では、先祖の魂を弔うための灯篭や盆のお供え物を、
川や海に流します。
●初盆・新盆
初盆は「はつぼん」「ういぼん」、新盆は「しんぼん」「にいぼん」「あらぼん」と呼びます。
49日法要が終わってから、「最初に迎えるお盆」のことをいいます。
地域によってやり方や供養の方法は異なりますが、
「本来のお盆とは異なるやり方で盆提灯をたてる」という点は、共通しています。
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お盆のお供え物キュウリとナスには意味があります
お盆のお供え物には、なぜかキュウリとナスがあります。どちらも夏野菜の定番ですが、旬野菜をお供えするのであれば、
他にもまだ種類はあるはずです。
でも、「お盆のお供え」には「キュウリとナス」です。
もちろん、きちんと意味があるからこそ、この2つがお供えされます。
●キュウリをお供えする意味
★キュウリを馬に見立てる
キュウリに割りばしを4本突き立てて作るこのお供え物は、
実は「馬」の意味があります。
「せっかく来てくれるのだから、できるだけ早く家に来てくれるように」
という意味を込めて作ります。
★早く来て欲しいから「内向き」に飾る
せっかく馬を準備しているのだから、
できるだけ早く自宅に来て欲しいと願うのは当然です。
ですから、馬も「内向き」に飾るのが正式です。
★ちなみにご先祖様は東から来ます
そのため、キュウリの馬は西向きに置く地域もあります。
★正式名称もあります
精霊馬といいます。意外とそのままですね。
●ナスをお供えする意味
★ナスを牛に見立てる
キュウリの馬と同じように、4本の割りばしを突き立てて作ります。
こちらは、「牛」の意味があります。
「出来るだけゆっくりお帰り下さい」という願いが込められています。
★できるだけ長くこちらにいてほしいから「外向き」に飾る
「来るときは早く、帰りは遅く」がお盆でご先祖様をお迎えする基本。
そのため、飾る時は「外向き」に起きます。
★ご先祖様が東へ帰るから…
ナスの牛を、東向きに置く地域があります。
★実は…
本当に「旬の野菜だから飾る」という理由もあります。
まとめ
ご先祖様をお迎えする儀式には、様々なものがあります。仏教的な行事が強い地域、あくまでも風習としての行事が強い地域など、
その地域独自の風習がある地域など、本当に様々です。
でも、どの地域であっても、「あの世に行ってしまったご先祖様をお迎えする日」
ということは共通しています。
日本全国、いろいろなやり方がある盆の行事は、
意味や由来を知ってみるととても面白い行事なのですね。
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