もちろん味も魅力的ですが、春の和菓子というだけに風情を感じるものでもあります。
でもそんな桜餅には、地域や人によって名前や種類、作り方まで違いがあるのです。
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桜餅でよく耳にする「長明寺」と「道明寺」って由来に関係あるの?
一般的に桜餅と呼ばれる和菓子には、「長命寺」と呼ばれるものと、「道明寺」と呼ばれるものの2つがあります。全国的に桜餅の別名として有名なのは「道明寺」の方ですが、ややこしいこの違いにはこんな由来が関係しています。
●長明寺(長明寺餅) 関東で作られた桜餅の別名を、長明寺といいます。
もともと始まりは、江戸の向島にあった長明寺の門番が、寺の前で「山本屋」を創業し、目玉商品として売り出したのが始まりといわれています。
●道明寺(道明寺餅) 関西より西で作られた桜餅の別名を、道明寺といいます。
関西では、「和菓子は京で生まれて江戸へ下ったもの」という考え方があるので、江戸で作られた桜餅は、「関西で作られている桜餅とは違うもの」という扱いになり、わざわざ長明寺餅という呼び方を使います。
道明寺(餅)は、材料に道明寺粉を使っていることもあり、長命寺餅と比べると価格は高めです。
材料である道明寺粉が手に入らない地域や一般庶民の間では、もち米で代用していました。
現在は、その流れが地域の作り方として定着している地域もあります。
桜餅には長明寺・道明寺以外にもこれだけ種類がある
現在よく知られている桜餅は、「関東風」「関西風」によって、名前も作り方も異なっています。まずは、代表的な2つの桜餅の違いを、ズバリ見た目で説明しましょう。
●長命寺(関東風) 餅といいますが、生地は小麦粉を水で伸ばして焼いたものを使っているため、表面が美しく、見た目も上品です。
●道明寺(関西風) 道明寺粉を蒸して餅にしているため、表面はぶつぶつしています。形も、玉状のものや扁平なものが多いです。
和菓子などは関西の方が上品なイメージがありますが、桜餅の見た目に関しては、関西風の方が野暮ったい感じがします。
■実は他にも、こんなに種類がありました。 最近見かける桜餅の中には、長命寺や道明寺とも異なるものがあります。
●ひとひら桜餅 鎌倉で見られる、二つ折りの桜餅です。
●長八さくらもち 桜の葉の産地である伊豆で作られている桜餅です。
●みどりの桜餅 島根県雲南市には、「みどりの桜餅」という、薄い緑色をした桜餅があります。
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桜餅の葉は食べる?食べない?
桜餅の葉というと、桜の香りが楽しめる和菓子という点も魅力の一つです。でも、実際の桜の葉は、桜餅で味わうような桜の香りはしません。
実は、あの独特の香りは、塩漬けすることで初めて香るものなのです。
もちろん、桜の葉も「桜であれば何でもよい」というわけではありません。
桜餅に使われている桜の葉の多くは、オオシマザクラの葉です。
オオシマザクラの葉は、葉が柔らかく、毛が少ないのが特徴です。
そのため、葉を食べたとしても口当たりが気になりません。
こうした心遣いがあるからこそ、桜の香りを存分に味わいつつも、塩気と甘みを同時に堪能できる贅沢な和菓子が出来上がるのです。
ちなみに、桜餅の葉は、「食べても食べなくても、どちらでもよい」というのが一般的な意見です。
もしも「食べてはいけない」と強く言われた経験があるのなら、それは、桜餅の葉に含まれる肝毒性の「クマリン」のことを心配しているのかもしれません。
クマリンは、桜餅独特の香りを、塩漬けの工程でつける時にうまれる香り成分のことをいいます。
このクマリンには肝毒性がありますが、危険な食品添加物ではないと言われています。
ただし、極端に食べ過ぎるのは、やはり注意が必要です。
まとめ
春になると食べたくなる桜餅には、見た目の違いだけでなく、名前や種類、形や材料まで実は違っていました。今年はそんな桜餅の秘密にも注目しながら選んでみると、もっと楽しめるかもしれませんね♪
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