なんとなく耳にしたりするこの言葉なので、それほど難しく考えることもなかったと思いますが、「その意味は何?」と聞かれると、答えに困ってしまう気がしませんか?
そこで今回は、事始の意味を知りつつ、どんなときに使えばいいのか、その使い方についてもまとめて紹介していきます。
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目次
事始めの意味や使い方
事始めは、一般的には物事をはじめて行うときのことを言いますが、それ以外にも、季節の行事としての事始めもあります。●季節の行事としての事始め 季節の行事としての事始めは、「事八日」に行われる行事のことをいます。
事八日は、物事を始めたり収めたりするのにもっとも適した日といわれており、旧暦の12月8日と2月8日のことを言います。
●事始めの使い方 事始めを言葉として使う時は、冒頭で説明したとおり、「物事の始まり」のことを意味する場合に使います。
■正月事始め
かつては、旧暦の12月13日に行われていた言葉なのですが、もともとは、正月の準備を始める日とされているため、現在では新暦の12月13日に行います。
門松を作るための木々を集めたり、餅の準備を始めるなど、正月の準備をすることをそうして「正月事始め」ということもあります。
■使い方に注意したい「手始め」と「事始め」
物事に取り掛かることをあらわす言葉には、「手始め」もあるのですが、この手始めと事始めは、使い方に注意しなければいけません。
手始めとは、「物事に取り掛かる第一歩」という意味になります。
ですから、「手始めにこの部屋の掃除からはじめよう」などのような場合に、使ったりします。
でも、事始めというのは、「物事をはじめて行うこと」という意味です。
ですから、同じ文章で「手始め」と「事始め」を入れ替えてみると、大分ニュアンスが変わってしまいます。
たとえば、「事始めにこの部屋の掃除からはじめよう」としてみましょう。
文章的にもちょっと問題があるのですが、この文章だと、「この家で行う最初の掃除をこの部屋から始めよう」という意味にもなってしまいます。
ざっくりといってしまうと、「手始め」は普段でも使いやすい言葉ですが、「事始め」は、よほどのことがない限り使うことがない言葉ということになるでしょう。
事始めの時期には2通りある
そもそも、事始めの「事」とは、祭りのことを表しています。祭りの主役といえば、神様なのですが、実は事始めには2つの神様が主役になります。
一つは「年神様」と呼ばれる神様で、もう一つが「田の神様」です。
●年神様と田の神様の違い 年神様は、歳神様とも書きます。一般的には、お正月に各家庭へやってくる来方神といわれています。
他にも、穀物の神様であったり、農耕の神様とも言われています。
これに対して田の神様は、農耕民族である日本にとって、豊穣をもたらす神様として親しまれてきた神様です。
そのため、百姓神と呼ばれることもあります。
●事始めは神様を祀るだけではない 事始めは、神様に感謝をする日というだけではありません。
もともと農耕民族ですから、一年のサイクルは、すべて農作業と深く関係していました。
そのため、農作業を始める日という意味で行われる事始めもあります。
●神様が関係する時は12月8日が事始め 歳神様であっても、田の神様であっても、神様を祭る日として行う事始めは、12月8日に行われます。
これは、農作業が終わり、神様を迎える準備を始める日という意味があります。
これに対して、農作業を始める人いう意味でも事始めは、旧暦2月8日となります。
これは、新暦に変えるとちょうど3月中旬ごろにあたり、田植えの準備を始めるのにちょうどよい時期といわれています。
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事始めの伝統料理
事納めは、「事八日」に行われる慣習です。この事八日に食べる伝統的な料理というのが、野菜がたっぷり入った味噌汁「六質汁(むしつじる)」です。
●六質汁とは 一般的には、「お事汁」とも言われています。
大根やニンジン、ゴボウやくわいなど、土で摂れる農作物であれば何でも入れてよい具だくさんの味噌汁は、無病息災を願って食べるといわれています。
●六質汁の健康効果 六質汁は、野菜がたっぷりと入った味噌汁です。
野菜に含まれる豊富なビタミンやミネラル食物繊維を、温かいお味噌汁でいただくわけですから、身体にはよい効果が期待できます。
さらに、発酵食品である味噌を使っていますから、豊富な栄養素を消化吸収しやすくする味噌の効果によって体にはよい作用があると言われています。
まとめ
事始めは、何を基準にして初めと終わりを考えるのかによって、行う時期が異なるという、ちょっと面白い特徴がある行事です。かつて、日本人のほとんどが農作業を行っていたからこそ行われてきた、事始めという行事。
普段はほとんど耳にすることのないこの行事ですが、改めて、日本に伝わる昔ながらの伝統行事について考えてみるきっかけにするのも楽しいかもしれませんね。
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