沖縄では「ウージ」と呼ばれているさとうきびは、沖縄で最も多く栽培されている作物でもあります。
南国の風に吹かれてサヤサヤと音をたてるさとうきびに囲まれていると、それだけで心が癒されてくるものですが、本当の楽しみはやっぱり食べること!
せっかくならば収穫から食べるところまで全部を体験してみたいと思いませんか?
そこで今回は、沖縄のさとうきびを五感すべてで楽しんでみましょう!
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目次
沖縄でさとうきびを余すとこなく楽しむ方法
さとうきびは、捨てるところがない万能の作物です。いろいろな利用法がありますが、代表的なものを5つ紹介します。
●その①そのまま食べる 沖縄に旅行に来たら、一度は試してみたいのが「さとうきびに直接かぶりつく」という食べ方。
土産物品店が立ち並ぶ国際通りに行けば、手頃な長さにカットされたさとうきびがそのまま販売されているところをよく見かけます。
今のように暮らしが豊かではなかったかつての沖縄では、甘いさとうきびは子供たちの大好きなおやつでした。
今では直接キビをかじる子どもの姿を見かける方が珍しくなりましたが、やっぱりシンプルにさとうきびを食べるにはこれが一番です。
ただしものすごく食べづらい上にえぐみが含まれているため、みなさんが予想しているような味とは少し違うことは理解しておいてくださいね。
●その②しぼり汁を飲む 砂糖を作るには、さとうきびのしぼり汁が必要になります。
サトウキビのしぼり汁には「とうみつ」が含まれていますが、これを取り除くことによって砂糖が作られます。
那覇市の市場やその周辺の通りでは、さとうきびを目の前で搾り、そのしぼり汁を飲ませてくれるお店があります。
しぼり汁を口に含むと、天然の甘みが口の中いっぱいに広がりとても幸せな気分になれます。
●その③煮詰めた黒糖を食べる さとうきびのしぼり汁を鍋に入れ、灰汁を取りながら時間をかけて煮詰めていくと黒糖が出来ます。
さとうきびにはビタミンD、ミネラル、カルシウム、カリウムなどの豊富な栄養素が含まれていますが、それを煮詰めて固めたのが黒糖ですから、まさに天然の健康食品と言ったところです。
●その④染物として楽しむ さとうきびは食べるだけが楽しみ方ではありません。キビの部分は砂糖の主原料となりますが、葉や穂は煮出すと染料になります。
これを地元では「ウージ染め」と言います。
収穫期を迎えたサトウキビ畑を彷彿させるような色鮮やかな緑色だけでなく、美しい黄金色や渋みのある緑色にもなります。
ウージ染めを使った商品は地元ではちょっとした人気があり、かりゆしウェアやストール、カバンや反物など様々な製品に加工されています。
豊見城市にある「豊見城市観光プラザてぃぐま館」では、ウージ染め体験や機織り機での織り体験を楽しむこともできます。
▲豊見城市観光プラザてぃぐま館はこちら
●その⑤黒糖を使った沖縄伝統のスイーツを食べる さとうきびから作られた黒糖は、お菓子作りにも適しています。
中でも沖縄の家庭で昔から作られてきた沖縄風ドーナツ「サーターアンダギー」や沖縄風パンケーキ「ポーポー」は、シンプルな作り方であるゆえに黒糖のおいしさを感じられる素朴なお菓子です。
ちなみに「サーターアンダギー」は、白糖を使う時は「白サーター」、黒糖を使う時は「黒サーター」と地元では言います。
見た目も白と黒でははっきりと違うので、お店で見かけたらぜひ「黒サーター」の方も食べてみてくださいね。
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沖縄のサトウキビ収穫体験情報!
さとうきびにも旬はありますが、基本的には一年を通して収穫体験が出来ます。さとうきび農家が行っているものが多く、参加者全員で収穫体験をした後にさとうきびを使って黒糖を作ったり試食をしたりするのが主なプランになります。
●体験王国むら咲むら 体験王国むら咲むらは、NHKの大河ドラマ「琉球の風」のオープンスタジオを利用した体験型観光施設です。
サトウキビの収穫体験コースは通年準備されていますが、最少人数4人以上となるので参加の際には十分注意してください。
体験王国むら咲むら公式ページはこちら
●琉球村 琉球村は、沖縄の昔ながらの集落を再現した体験型テーマパークです。
サトウキビの収穫体験のほかにも、沖縄の伝統工芸品の体験コーナーや文化を体験するコースなども準備されています。
こちらは最少人数の制限がない上に、小学生以上から参加が出来ます。
琉球村公式ページはこちら
●オルタナティブファーム宮古 宮古島のオルタナティブファーム宮古では、自然の中でのさとうきび収穫体験プラス黒糖づくり、黒糖を使ったスイーツづくりなど、甘いもの尽くしの収穫体験コースがあります。
開始時間は9時、13時、16時に分かれており、予約の際に希望する時間を選ぶシステムです。
収穫体験なしの黒糖づくり体験のみコースもあります。未就学児は無料になっているので、小さな子供がいる場合は、こちらのコースを選ぶのもいいかもしれませんね。
オルタナティブファーム宮古公式ページはこちら
脳(知識)で沖縄のさとうきびを楽しんでみよう
沖縄でさとうきびが広く栽培されるようになったのは、1623年以降のことです。今では「沖縄=さとうきび」となっていますが、かつての沖縄は稲作が一般的で、8世紀ごろからは水稲栽培がおこなわれていたことが分かっています。
気候が温暖なこともあって、2~3月頃には一期米の田植えが始まり7月頃には早くも収穫の時期を迎えます。
でもやはり沖縄の農業といえば、さとうきびの方が断然主流です。
もともと赤道近くのパプアニューギニア原産のさとうきびは、一年を通して気温が高い亜熱帯地方の沖縄の風土に適した作物です。
原産国であるパプアニューギニアでは、なんと1万7千年も前から栽培されていたといわれています。
沖縄にさとうきびが伝わった背景には、琉球王国時代に活発に行われていた中国との貿易が関係しています。
インドから続くシルクロードによってさとうきびが中国に渡り、さらに中国と貿易を行っていた琉球へ渡ってきたとされています。
さとうきびが中国から渡ってきたころの琉球には、製糖技術がありませんでした。
そこで当時琉球王国の氏族であった儀間真常(ぎま・しんじょう)が中国の福州に人を派遣し、製糖技術を学ばせました。
こうしてさとうきびの栽培から製糖までの技術を手に入れた琉球は、本格的なさとうきび栽培に取り組むようになりました。
ちなみに儀間真常は、さとうきびの製陶技術の導入・普及に携わっただけでなく、琉球の地にサツマイモを広めたり木綿の栽培や織物の普及など、琉球王国の産業の基礎を築き経済の発展に寄与した人物としても有名です。
まとめ
沖縄でさとうきびの収穫体験をするなら、動きやすい恰好と日焼け対策、そして何よりも万全の体調で挑むようにしてください。もともとサトウキビの収穫は重労働だったため、沖縄では集落でグループを作り共同で作業してきたものです。
でも大変な作業をみんなで行うからこそ、作業の後のご褒美が最高!
ぜひ皆さんも昔ながらのサトウキビ収穫を楽しんでみてくださいね!
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